ねむろう

隣人X 疑惑の彼女のねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

隣人X 疑惑の彼女(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_243


あなたの心に、私はどう見えていますか?


【簡単なあらすじ】
ある日、日本は故郷を追われた惑星難民 X の受け入れを発表した。
人間の姿をそっくりコピーして日常に紛れ込んだ X がどこで暮らしているのか、誰も知らない。
X は誰なのか?彼らの目的は何なのか?人々は言葉にならない不安や恐怖を抱き、隣にいるかもしれない X を見つけ出そうと躍起になっている。
週刊誌記者の笹は、スクープのため正体を隠して X 疑惑のある良子へ近づく。ふたりは少しずつ距離を縮めていき、やがて笹の中に本当の恋心が芽生える。
しかし、良子が X かもしれないという疑いを払拭できずにいた。
良子への想いと本音を打ち明けられない罪悪感、記者としての矜持に引き裂かれる笹が最後に見つけた真実とは。



【ここがいいね!】
まず、そもそも誰が「X」なんだというところ自体が、この作品を最後まで引っ張る原動力になっているので、そのサスペンスフルな描き方は良かったと思います。
その一方で、誰が「X」なんだというところは、実は重要ではなくて、自分が関わっている人のことを正しく見ているか、「理解する」とかそういうことではなく、「見ようとしているか」ということなのかなと思いました。
それが、台湾から来たリンだったり、酒向芳さん演じるお父さんに担わされているのかなと感じます。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
私の感性がないのかわからないのですが、いろんなところに「?(はてな)」が浮かんでしまうような作品でした。
作品の中で、林遣都さん演じる記者が謎の影に腕を掴まれるという描写が3回ありました。前2つはおそらく夢なのでしょうが、最後の3回目に触られた後、その記者は自分が「X」だと告白する記事を出して雑誌社をやめるわけですが、なぜそれで記事を書くところまでいけてしまったのかがわかりませんでした。
また、作品の中で疑惑を持たれている人の写真にバッテンが付けられているホワイトボードがありましたが、「この人は違う」ということなんでしょうけれども、ではその「違う」という証拠は何なのかと思ってしまいました。
あとは、これも見間違いかもしれないですが、3回目に笹が触られた時に、手首に3つのほくろがあって、おそらく作品の中では「それがXの証明ですよ」という感じで描かれていると認識しています。しかし、一番最後のカットでは、笹の手首にそれがなかったんですよね。どっちが本当なのか、もしくは私が見ていたその手首は、また別の手首だったのかというところも気になります。
さらに、台湾からの留学生リンに「X」が擬態をしているというところで、ニュース映像では上の階にいた人だったわけですが、姿形が似ている人が上の階にいたら、どうしたって気になるし、名前が出た瞬間に読み方や区切るところが違うとはいえ、使ってる漢字すら同じというところで、どう考えても変に思わなきゃいけないのに、なんかさらっと流されたなと感じてしまいました。
そんな感じで、色々と「?」が浮かぶような作品でした。もしかしたら、別にちゃんとした理解の仕方があるのかもわからないですが、鑑賞直後の私は、ちょっと理解できませんでした。



【ざっくり感想】
非常にサスペンスフルな内容であること、笹と良子とのラブロマンスであるというところが、もう少ししっかりとしていれば、もっとスッキリとわかりやすく面白い映画になったのになという思います。
個人的には、それぞれの人たちの手首にある3つのほくろも、「X」の証明であるということすら「わからない」と思っています。
そんな、「何だかわからないけれど人を疑ってしまう」とか「人を色眼鏡で見てしまう」ということがこの映画や原作の小説が言いたかったことなのかなと思いました。
ねむろう

ねむろう