SNOOPY

コンクリート・ユートピアのSNOOPYのレビュー・感想・評価

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
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ラストの「普通の人たちでした」を聞いたときに、大学で知ったホッブズの社会契約説を思い出した。そしてこのセリフにこの作品のテーマが凝縮されてる気がする。

災害によって自然状態である戦争状態が引き起こされたことによる人間の本能的な意味での「普通」なのか、それとも社会契約に則って地震前までの「普通」を演じているのか、
たぶん前者かな。

このタイミングで公開されたのも何かの縁(いい意味ではないけど)、どうしても現実と重ねてしまいグッとくるものがあった。
現実じゃ絶対ありえないシチュエーションだろうけど、島国文化の日本人でもこうなるんだろうなって想像した。

争いの中で自分が一番生き残りたいのも、他の人と助け合って共助に努めるのも、1人でひっそり生き延びたいのも、全部選択として正しい。けど集団に属すると自分の正解が他人によって不正解にされてしまう。ジレンマ。普段の生活だと我慢すればいいものが非常時だとそうもいかない。

あと作中で無政府状態→民主主義→独裁→独裁者追放っていう歴史の教科書みたいな流れ(ヒトラーみたいだった)を観れて意図せず感動した。テンポ良かったもんね。
だけどヨンタクを住民代表にしたはいいけど途中まで完全に大家が仕切ってたしヨンタクは最終決定だけだったやん。そのヨンタクも途中から完全に独裁者だったし。

ヨンタク、それまでの自分を殺して他人に完全に成りすましたからあれだけ自信持って振る舞えたんだろうな。借金まみれ→独裁者なんていう逆シンデレラストーリー。
そういや碁石って伏線だったのね。あの投票方式は賢い。

韓国映画はやっぱりテンポ良くて演技力も光るし何より題材が天才だからハズレない。良き。
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