コマミー

コンクリート・ユートピアのコマミーのレビュー・感想・評価

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
3.9
【良心の崩壊…そして狂気の台頭】





昨年の「非常宣言」に続き、新年早々際どい"韓国パニックもの"が公開されたなと確信した。
"イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨン"と新旧の名優たちがこぞって出演し、演技も素晴らしい…是非とも劇場で見てほしい韓国製ディザスタースリラー映画である。

"一国の文明を崩壊"させてしまうほどの"大規模自然災害"が勃発した韓国で唯一人が住める建物として機能している"高層アパート"にて起こる、"人間同士の可哀想な戦い"を描いた作品となっている。あえて本作の人間達の事を可哀想と書いているのは、この人達を別に醜いと感じるのは違くて、人間の"精神構造上での可哀想な部分"を本作の中で描いているからである。

それは、人が追い詰められた時に沸き起こる"危険な信用"である。正体不明だがちょっと無理をして人を助けたくらいで、身元がよく分からない人間を"神の様に崇めて信用"し、"洗脳"されてしまう…そしてその内、目の前に起きている事への"善悪の区別が付かなくなる"….この人間の可哀想な心理を描いた、そんなスリラーとなっていたのだ。
本当に恐ろしいし、アパートの住人が正体不明の男を祀りあげて"独裁国家の様"に化してしまう所が開いた口が塞がらなくなるくらい、衝撃で恐怖を感じてしまった。
"外の人間"が不憫だし、パク・ソジュンとパク・ボヨンが演じた"若い夫婦"の2人の様に、"やりたくなくてもやらざるを得ない"人にとっては苦痛すぎる所が見てられなかった。

それを踏まえて、ラストの展開を見た時、もう残酷すぎて完全に私の表情は無とかしていた。まるで人間の残酷性に関する映像教材を見ているかの様だった。

イ・ビョンホンの狂気的な演技がほんとハンパなかったし、パク・ソジュンやパク・ボヨンの精神を削る様な表情の演技もハンパなかった。

正直、もう見たくない…

見た後、鬱になりそうな、とんでもない胸糞映画でした。
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