世界を襲った大災害により壊滅状態のソウルで、ただ一棟無傷のまま残った高層アパート。そこに群がる家を失った被災者たちを住民たちは排斥し始める……。
「災害時は犯罪者も聖職者もみな平等」と婦人会会長は口にするが、その割にアパートの住人たちの中にははっきり差別がある。近隣の高級マンションの住人たちに対しては、以前下に見られていた経験からか露骨に嫌悪感があるし、アパート内でも持ち家か賃貸かで上下を意識する者もいる。私たちは選ばれた人間なのだという謎の選民思想が怖かった。
非常事態下で情報が遮断されたまま食料も尽きてくる限界状態の中、自分ならどう行動するか、どの登場人物の様になるだろうか、答えが出ないまま今に至る。
普通の人が普通でなくなってしまう世界は理想郷ではなく地獄でしかない。自然災害の多い日本に暮らす者としては明日は我が身な作品でした。