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コンクリート・ユートピアのせっのレビュー・感想・評価

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
3.8

大災害で奇跡的に倒壊を免れた1棟のアパートの住人達を束ねることになったおじさんが、徐々にアパート内で独裁者となっていく話。

いわゆる「大衆は独裁者を求めている」理論みたいな話だった。独裁者となるおじさん、多少道を踏み外してはいるけど極悪人ではない普通のおじさん、勇敢に見える行動も1回道を踏み外したから普通の人よりもちょっと行動が大胆になれる程度のもの。なんなら住民以外を最初に追い出した時、おじさんは何もしてなくて住民達のが武力行使している。

おじさんは住民達が心のどこかで思っているけど行動や言葉に出せないことを代わりにやってくれる、住民の創意みたいな存在。そんな人が大衆によって独裁者になるプロセスが、ヒトラーみたいな感じに見えて(隠れてる住民とかアンネ・フランクの日記連想した)人種も同じ韓国人同士でやってるのでより身近に感じた。多分私もあそこに居たら、旦那みたいになってたな、いや無能すぎて食い物減らされて反乱軍になるかも(笑)

そんな無能な奴は食っていけない過酷な環境から抜け出した時、「ただ生きているから住んで良い」というブッタみたいな言葉を投げかけられて、金持ちから税金取るのって大事だなと実感した。富の再分配、再分配(笑)

パク・ソジュン演じる恐らく元々真面目だった旦那がどんどん闇堕ちしていくのも、自分も完璧主義なとこがあるので気持ちわかるなぁと。0か100かしかないから、1つ自分の中の何かが欠けるとたちまち全てのことが崩れ落ちていく感覚と、自分のやったことに正当性を持たせたいからそっちの方向にどんどん突き進んで行く感じ。
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