かさま

コンクリート・ユートピアのかさまのネタバレレビュー・内容・結末

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

排除と全体主義の寓話として面白かった。
アパートの意思決定層になっていく人々が兵役経験者を中心に集められており、非常時のアパート内で生まれた階級の話ではあるが、兵役経験は韓国社会で大きな主題になる話なんだろうと思う。
ナプキンをこっそり渡すシーンがある。生理用品は必要物資としてあまり認識されてないんだろう。大人用子供用のおむつなども必要な家庭はあると思うがどうしているんだろうか。怪我をした人もコミュニティに奉仕しないものとして分け前が減っていたので、個々の事情を考慮するようなシステムはそもそも構築できていない事がわかる。
今作は、そういった非常時に支援からこぼれ落ちる人たちの描写よりもマスキュリニティによる全体主義の要素が大きく感じた。起こる諍いも家族主義的というか、コミュニティの維持のためのウチとソトの意識が大きい。ウチの中に居るコミュニティを脅かす存在も、ソトの人間を匿っていた人が殊更に見せしめにされていた。
おばあさんは日帝時代に同化教育を受けた人なのかな。
ネットで公式から警告はなされていたが、災害のシーンはかなり怖い。災害がなにかは明言されていなかったと思うが、現実の出来事は想起されると思う。
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