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コンクリート・ユートピアのxavierのレビュー・感想・評価

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)
3.0
男の正体が暴かれる時、狂気が目覚める…
世界規模の大災害により壊滅した韓国・ソウル。唯一、崩落しなかったマンションには生存者たちが押し寄せ、様々な犯罪が横行する無法地帯となっていた。危機感を抱いた住民たちは代表を立て居住者以外を追いだし住民の為のルールを作って"ユートピア"を築く事にする。住民代表に選ばれたのは902号室に住む冴えない男ヨンタクだった。住民が結束を深める中、ヨンタクはユートピアの権力者のように振る舞いだし、その狂気を露わにしていく…
ストーリーはこんな感じ。
人間は追い詰められた状態になると、その人の本性が露わになってくる。唯一、倒壊を免れたアパートの住民もそう。周りの倒れたアパートの住民たちも引き込み、共に助け合って生きていこうという考えの者も居れば、自分だけは助かれば良いと思う独りよがりの者もいる。
ここのアパートの住民は後者が多かったな危機的状況にある場合、システムを作り一定の規律を保つのは大事だとは思う。
でも、そこに人を思いやるという人間らしさが無いのはどうなんだろうね。
小ちゃい子どもが寒さに震え、お腹を空かせても無視できないよね、普通の人は。
住民の代表となったヨンタクには、そういう所が無かったよね。目立たなかった男が何かの切っ掛けで代表となり、みんなが頼りにした事によって増長し偉くなった気分になってしまったもんな。

集団心理ってのも怖いよね。マンションに住んでおけば大丈夫って感じが住民の中にあふれてる事には、あれっ?と思えたかなぁ。ミョンファがぽろっとこぼした言葉に真理があったよね。
「アパートが有っても、みんな死んでしまえば何も無い」
ホント、そうだよね。倒壊したアパートでも雨風や熱さ寒さはしのげる訳で、生き抜くのには食料や水は必要。でもそれはアパートの外にあることが絶対的に多い。
だからみんなで協力して探せば助かる確率も上がったんじゃないのかな。ただ倒壊しなかったアパートに住んでいるから、自分たちが偉いって奢ってしまったのは間違いって気づかなかった事は不幸だったよね。

まぁ、それにしてもイ・ビョンホンの狂気の演技は凄かったわ。どんどん何かに取り憑かれたように狂っていく様は怖かったしね。それに対するパク・ボヨンの毅然とした演技も良かったなぁ…
俳優陣たちは、結構良かったけどストーリーの方はあんまり面白くなかったかな。
一番肝になりそうな事も"なんじゃそりゃ"
って感じだったし、ラストの展開も今ひとつだったしね。
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