くりふ

ネバーセイ・ネバーアゲインのくりふのレビュー・感想・評価

3.0
【ネバーゼェゼェ、ネバーハゲイン】

アマプラ見放題にて。007第一作『ドクター・ノオ』再見直後に、ふと見直したくなり。

公開時、劇場に行った記憶があるが何故、コレに行きたくなったか、今では謎だ。

第一作から20年後のギャップが、当然凄まじい。何やら、現代の50代より10歳増しに見える。ラジニカーントを見倣って、せめて頭頂部は堂々盛るべきだったかと。特に年齢差23、キム・ベイシンガーとのギャップが何とも凄まじく、もはや淫行にさえ映ってしまう。

改めてコネさん、濃ゆい顔とペタリUFO風銀髪が、絶妙なミスマッチだ!さいとう・たかをのキャラみたいな、今では時代錯誤すぎる可笑しみがある。いいんだけどさ昭和だし!

紆余曲折し結果的に、コネさんが望む形での制作とはなったようだが、自身はインタビューで「100点満点中60点」と答えたとか。大人の事情で、集まったスタッフが007慣れしていなかったのが因らしい。同年は先行して本家『オクトパシー』も公開されているしなあ。

この冷静な点数付けには同感だけど!悪くないけどムリしているよね。過ぎ去りし日の幻想を貫き通すなら、それこそラジニ映画のような、ウソは盛り盛りでつき通すべきでした。

私は逆に、例えばジョン・ウェイン『ラスト・シューティスト』のように潔く…本作なら“哀愁の枯れスパイ”に仕立てた方が特徴も出て、面白くなったと思う。番外編だしね!

とはいえ、加齢臭いや枯れ臭漂う進行に、萎えた所で中盤辺り、何故かノレてくる。腐っても007。タキシードで敵地に潜入すればそれなりに、昔取った杵柄が活き始めるのですね。

中盤から映画を活性化させた立役者は、サイコじみた女王様バーバラ・カレラかと。彼女なら、弱った枯れコネと並べるとSM風で悪くない。本作、本家との関係上から『ゴールデンアイ』と似た部分があるようだが、確かに彼女、ゼニア・オナトップの元ネタだよね。

エアロビックな登場時、オツム弱者に見えたキムさんは、意外や、段々と映画を拐います。そして裁くのは彼女だ!枯れコネが華を持たせてあげたのかな?で、彼女はキチンとこの後、スターとして花開いていきますね。…裏でナニかが、あったのかもしれないが。

なんにせよ本作でのお二人は、飴と鞭の名花二輪。眺めれば眼が、しっとり潤います。

悪役クラウス君は、枯れコネとのバランスが悪いよね。暖簾に腕押しなカンジで“対戦”にならない。あとどうも、当時騒がれた某ヨットスクール校長さんの顔、思い出しちゃって…。

そういえば、最も凶悪なハズのサメ君たちも、やる気なさげでしたね。

不似合いな、音楽のミシェル・ルグランもやる気なさげでしたが、コネ嫁の(家計を鑑み?)“もうボンド役やらんとか言うな”発言がタイトル化した主題歌は、熱き名曲だと思います。

監督は、個人的SWシリーズ最高作『帝国の逆襲』のアーヴィン・カーシュナー。でもこの方、職人なのか、御用聞きなのか、あとよろ監督なのか、よくわかりません…。

あ、ちなみに吹き替え版は、むしろ昔より、若山弦蔵の声が合っていますね!

あ、もイッコついでに。若き日のMr.ビーンが出ていたコト、すっかり忘れてました!本作での経験があってこそ、後に『ジョニー・イングリッシュ』が生まれたのね!嗚呼苦笑!

<2023.5.28記>
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