後入れかやく

スカウトに誓って 米国ボーイスカウトの隠蔽された記録の後入れかやくのレビュー・感想・評価

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 少年たちが植え付けられた「恥」に、怒りがおさまらなくて涙がこぼれた。信頼できるはずの大人から性的な接触をされて辛い想いをしても、誰にも打ち明けられず心に闇を抱えたまま、時間が傷を癒すこともなく成長する子どもが沢山いるだろうことは想像に難くない。自分が性的な対象にされていることを誰かに伝えるといのは強烈な羞恥心を伴うものだし、誰かに話したからといってただ自分が傷つくだけかもしれないという恐怖もある。相談したからといって何が変わるんだというような諦めもあるだろうし、相談相手が自分を大切に想っていたとしても、彼らが性的虐待について正しい知識を持たず、被害者の自分に対して配慮に欠けた言葉をかけてくる可能性もあるのだから。
 大人になってからはそうでもないことに気づくのだが、子どもにとって大人というのはなんだか「完璧」に見えてしまって、間違ったことであっても大人から正しいと言われれば正しいように思えてしまうことはいくらでもある。そして、被害を受けた子どもたちも、スカウトの中に大事な友達がいたり、楽しい経験をしたりすることで、組織に対して何かしらの愛着を持つことがあって、告発の口に蓋をしてしまうこともあるだろう。そういう気持ちを利用して子どもの尊厳を傷つけるような行動をした人間は絶対に許せないし、組織に対しても強い不信を感じる。