たけちゃん

知りすぎていた男のたけちゃんのレビュー・感想・評価

知りすぎていた男(1956年製作の映画)
4.3
なるようになるわ!


アルフレッド・ヒッチコック監督 1956年製作
主演ジェームズ・スチュアート、ドリス・デイ


シリーズ「ヒッチコック作品巡りの旅」
第5弾は「知りすぎていた男」
大好きなジェームズ・スチュアートが主演です!
それだけでもスコアが上がりますが、やはり今作はストーリーが面白い!
昔、観た時も面白いと思ったけど、「ケ・セラ・セラ」の印象が強くて、他のこと、あまり覚えてなかった(笑)

その「ケ・セラ・セラ」で有名な歌手のドリス・デイは、今年の5月13日に93歳で亡くなりました。
そんな意味でも、今年、今作をもう一度観る機会が作れて良かったです( ˘ ˘ )ウンウン




さて、映画です。
今作は1934年にイギリスで製作されたヒッチコック監督作の「暗殺者の家」のセルフリメイクです。
ヒッチコックはそれを「オリジナル版はアマチュアの傑作で、リメイクはプロの傑作だ!」と評したそうですが、本当はオリジナルをかなり気に入っていて、リメイクの必要性を感じていなかったんだとか。
僕はオリジナルの「暗殺者の家」を観ていないので、比較できませんが、この「知りすぎていた男」が、めちゃめちゃ好きなので、リメイクしてくれてありがとうございますです(ˆωˆ )フフフ…




オープニング、アルバートホールの演奏シーンから。
このティンパニーの連打がかっこいい!
僕も打楽器やってるんで、特に惹かれます(^-^)
でも、それ以上に、シンバルなんです!
その瞬間までじっと立ち続けるパーカッショニストのクールなこと。
ここをオープニングに持ってくるヒッチコックは、やはり上手いですよね~。
このシンバルが今作のマクガフィンなわけですが、この後、なかなか出てこなくて、観客は焦らされまくりですよね。それがまた、見事!ハラハラさせられっ放しね。


場面変わって、マラケシュ行きの家族。
ジェームズ・スチュアート演じるベン・マッケナとジョーの夫婦。奥さんはもちろんドリス・デイ。
そして、息子ハンクを加えてのバスの旅。
典型的な巻き込まれる男プロットですが、今回は巻き込まれる家族なんですね。

改めて観たら、なんか、007っぽい(笑)
モロッコとかで撮影してるから、余計かもね。
これ、ヒッチコックが撮ったスパイ映画だったようで、その意味でも僕の好きが強かった( ˘ ˘ )ウンウン
「めまい」「裏窓」そして、この「知りすぎていた男」が僕のヒッチコックベスト3ですからね。
ぜひ、堪能してください( •̀ω•́ )و✧





最後に、音ネタ💩ウンチクンです!

なんと言ってもドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」
いや~、素晴らしい。
最初にホテルで息子と歌う時ね。
あの「ケ~セラ~セラ~」と伸びやかに歌う声の素晴らしいこと。つかみ、バッチリ!
なんて素敵なんだろうと思いましたよね。

ところが、終盤で歌われる「ケ・セラ・セラ」は切なく、痛ましい。ドリス・デイの息子を思い、必死に耐えながら歌う心情が痛いほど伝わりました。
ドリス・デイの演技が見事でした!


でも、この「ケ・セラ・セラ」は、この映画で知ったんではないんですよね~。
僕の世代ならみんな知っているかもね。
「ケ・セラ・セラ」と言えば、ペギー葉山さん。
紅白にも出ましたからね。
だから、昔、この「知りすぎていた男」を観た時、初めてオリジナルを知って、感動しましたよ。これだったのか~ってね。

そして、映画のヒットも受けて、「ケ・セラ・セラ」は、第29回アカデミー賞歌曲賞を受賞。
歴史に残る名曲となりました( ˘ ˘ )ウンウン


音楽はバーナード・ハーマン
アルバートホール前の看板のオーケストラの指揮者名が、ちゃんとバーナード・ハーマンになっていて笑いました!
こういうところ、ヒッチコックはお茶目。
そして、あの終盤のアルバートホールでのオーケストラの演奏でタクトを振っているのは、バーナード・ハーマン本人ですからね。
本人もこうして表に出て、嬉しかっただろうなぁ。


ヒッチコックは元々音楽の使い方が上手いんですが、これだけ音楽を効果的に使った作品もない。
そして、オーケストラシーンでは、ジェームズ・スチュアートらのセリフが聞こえないのに、ちゃんと聞こえる。というか、伝わる!
こうしたところが本当に上手。

ヒッチコック演出の素晴らしさ。
脚本の面白さ。
音楽の効果。
どれをとっても見事。
ぜひ、味わってください!






【おまけ:ヒッチコックを探せ!】
モロッコの市場で曲芸を見ているマッケナ夫妻の横に、さりげな~く並んできます(笑)
ここは意外と分かりやすいかもね。