ニューランド

“男たちと共に”演技するレオのニューランドのレビュー・感想・評価

3.9
デプレシャンというブランドは強力だ。そんなに熱心に観て来てる訳ではないが、本人新作キャンペーンで来日、それに併せ特集上映をしてると聞くと、1.2本は観ておきたくなる。今日初めて知ったが、日仏とF.Aで、彼の全作上映が企画され、実行されていたのだ。初めの2作はその前か ·後かどっちで観たか分からないが、とにかく好きも嫌いも圧倒的には違いない存在を認識したのは、1995年末に上映された『そして僕は~』からだから、わりと長い付合いになってきてる(たいして観てないが、同時期のタランティーノなどよりはいい)。
冒頭説明されるように、シェークスピア劇を扱った作家よろしく、各キャラが誰かになぞられながらの、どろどろというか力強い人間ドラマが繰り広げられる、というより地盤が沈みメリハリが付いてくる。きれいな35ミリプリントというより当時のアナログハイビジョン?的な発色も少し汚れて流れ溶けもす·宜しくないフィルム転換的な画質で、回想シーンやひとつ内面の素顔に入ってくともろビデオ的な荒いトーンに更に劣化する。TVや記録フィルム素材だと更に粗雑。そんな中カメラと人物意識は、自在に感覚·感情的に(手持ち的に)動き続け、あからさまな構図·道具示しを行い、カッティングもルーチンに反し気紛れに挟みを入れ·意味を外した繋ぎをする、只々、矢継ぎ早に語り尽くす。要はかなり低予算·配給元ルートを無視したような造りなのだが、傑作だが八方美人的な所も引っ掛かる『イスマエル~』にくらべ、わけの分からない所多くも、この熱の辺り構わない沸騰·煮詰めぶりは極めて魅力的だ。
何だか明確ではないが、武器銃器製造の企業の創業者の、有色の養子に地位を譲るのに、自分が完全に造り上げた後の器だけに拘り·取締役会にもそれまでは参入させぬ、人形扱い。今、企業買収のピンチで、相手は本来の商売を他大陸に拡大せんとすると、まず武器の供与を要求されての、行動。この父は旧くからの友人を頼ってるが、彼の本音は分からない。有力な株主だが、自分の経営してる会社が火の車で借金まみれのも。元海軍軍人で大法螺が気に入られ·失業中をクリアした黒人使用人は、内情やデモンストレーションの改変に通じてる。有力者の娘も含めて、様々に入り交じり、利用しあい、養子は全てを絡めとる方向で、経営への参加、デモ中の試射による父殺害、株を纏めての社を身売り、らを計画、多方面から父をのり越え·抹殺を計ってゆく、親子絶縁を互いにちらつかせての、攻防。売却もなり、父は憤死してゆくが···。ドラマや取り憑かれキャラよりも、人間のたぎるような世界と生への摩擦·殴り込み的それを上回ろうとする意気と欲の発露、観てる分にはエネルギーを、分け与えられ、なにか深いものが活性化してゆく。暖かなユーモアや人間の味などかまってられない、排除の自然、中身自体のブラックユーモアが、当たり前にも感じてく。
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