さいの

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦のさいののネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

原作の台詞や各プレーすべてを覚えてしまうほど読んでいたから果たして観る意味はあるのかしら、と思っていたけど、観にいって大正解。主観的に自由自在な速度で読めてしまう原作とも、モノローグで「時間を止めて」しまうようなテレビアニメとも違う、臨場感あふれる持続のなかで3セットたっぷりこの試合を観戦できてよかった。知っているはずのプレーや台詞で一々また涙を流してしまうのが途中から気にならなくなるくらい泣いた。なんなら最初の1点から泣いてしまった。

プレー中、モノローグに尺をとらず実際の時間経過に即すことを優先するのは大成功だと思う一方で(特にTV中継の映像なんかはご都合的な時間性が完全に排されていてよかった)、プレー外の会話やモノローグはもう少し深呼吸してもよかったと思う(特にクロと月島の会話はもっと時間をかけてゆっくりやってほしかった)。緩急大事。

第3セットから主人公を完全に研磨に切り替えていく描写も見事で、ラストプレーの一人称視点かつ実時間的な描き方は何度でも観たくなった。ただ、その途中で差し込まれる練習試合の回想——というより、「もう一回がない試合」と練習試合が重ね合わされている——の主語は研磨ひとりに限定するべきではなく、選手全員に共有されるべき光景だよなとも思った。でもあの一人称視点の試みのなかで急に三人称視点かつ俯瞰的な画角に移行するのは無理だしな〜難しい。少なくとも互いを完全に殺してしまう妥協にはなっていなかったので良かった。
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