べる

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦のべるのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

楽しみにしていたハイキューを鑑賞!
ファーストスラムダンク同様、一試合を丸々一本の映画にしているという構成。その中で過去回想を交えながらエモーショナルさを築いていた。
期待通りの素晴らしい出来で、満足。
しかし、難しいところなのだが、途中に含まれる回想は試合をストップさせてしまい、そこで減速させられて前半特にテンポの悪さを感じた。その回想がラストの展開に繋がっていたので良かったのだが、一本の映画として見た時にやっぱこのテンポ感じゃ乗り切れないよな、と。
そんなことを言いつつも、作画の繊細さ、演出のド派手さ、ラストの研磨の一人称視点などなど、映画ならではのクオリティが高かった。
アニメシリーズの「ハイキュー」の公式試合は、烏野高校よりも格上の相手に「戦術の新しさ」、「勢い」で勝っていくという過程を描いていたが、今作は「好敵手」を相手としており、「もう一回がない試合」をどちらが勝ってもおかしくないと、楽しみつつ、それでも全力で向かっていくその熱さを特に感じた。
また、今作は日向を主人公と置いておらず、あくまで日向はハイキュー全体においての主人公であり、映画の主人公は研磨であったかなと。
途中、過去回想でRPGゲームをしているシーンが挟まれる。「ゲームオーバーよりもゲームクリアの方が悲しい」といった内容だったかと思うのだが、これがすごく良かった。このゲームをクリアしてしまうことは、虚しいことなのだと。せっかく出会った友達、好敵手、自分にない熱を感じさせてくれる日向翔陽を敵として攻略し、打ち勝ってしまうことは、どこか虚しい。研磨の奥底に眠るバレーに対する情熱を感じさせる過去回想だった。その回想が「面白いままでいてね」というセリフと繋がってくる。見事だと思った。
試合の終わり方も素晴らしかった。烏野のマッチポイント、烏野が一点を取れば試合終了の場面、「絶対にボールを落とさない」という両チームの強い思いから、ラリーが続く。そこで研磨の一人称視点が入り込む。疲れてる。息も切れてる。思考が鈍る。ボールが来た。ボールをセットしなくちゃ。そう思いボールに触れると、そのボールには今までボールをつなげてきた選手たちの汗が。その汗によって手が滑りボールを落とす研磨。試合終了。その一連の流れが上手で、バレーという競技の熱さを感じるプレーだった。
映画としての若干のテンポの悪さを感じながら、しっかり泣いた作品だった。これは高評価をつけたくなる。あと何回かは観に行く予定。
べる

べる