ブラウンソースハンバーグ師匠

春の画 SHUNGAのブラウンソースハンバーグ師匠のレビュー・感想・評価

春の画 SHUNGA(2023年製作の映画)
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在学時、歴史の授業で春画に触れたとき
「この絵で抜いてた当時の人に現代のAV見せたら死ぬど」
と蔑みの目で見ていた。
だが、この映画は冒頭から、私が人生何周してもたどり着けなそうな大人達が、陰毛の書きこみついて、確かな慧眼で、それも静かな声色で語り合っているのであった。
もうそのシークエンスで、私は「ええい、もう始まってしまったからには観客である私も共犯者だ」と居住まいを正すことに決めたのである。
一方で「笑い絵」と呼ばれていたように、やっぱり「蔑み」の印象も間違ってはなく、馬鹿馬鹿しさも内包した絵であるのだと言及されていた。(マラ富士……めっちゃ馬鹿でめっちゃ好きだなあ……!)

喜多川歌麿の春画は、これまで登場してきた作品よりも上品で何だか格好いいまであり、閲覧者の女性陣も先ほどよりも声高らかに「いい!歌麿はいい!」と前のめりになっていたこともあり、「春画にしてはちょっと美意識が高すぎないか?」と思ってしまってからは、当時のネラーみたいな人達が「春画において歌麿好きは甘え」と吹聴している姿を想像してしまった。

こっちの朗読は確か、森山未来と吉田洋だったが、「春画先生」の方は「蛸と海女」の海女のセリフまで謎のおっちゃんが読み上げていて、その落差でめちゃくちゃ笑った。