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狂ったバカンスの一人旅のレビュー・感想・評価

狂ったバカンス(1962年製作の映画)
5.0
ルチアーノ・サルチェ監督作。

フランスに生まれ主に1960年代のイタリアで活躍したカトリーヌ・スパークが出演した異色ドラマで、若者グループと行動を共にする中年男を描きます。音楽は巨匠エンニオ・モリコーネ。

39歳の電気技師の中年男アントニオは、寄宿学校にいる息子に会いに行く途中、乱痴気騒ぎに興じる若者たちのグループに遭遇、ひょんなことから彼らのバカンスに同行することとなったアントニオはグループの中の一人である16歳の美少女フランチェスカに心奪われてゆく…という中年男の恋路を描いた“遅咲き青春ドラマ”となっています。

老いをたった一人で象徴する中年男と若いエネルギーを発散させる若者グループとの老いと若さの対比の中で、無軌道な若者たちに精神&体力面共に張り合おうと躍起になる男の美少女へのガチ恋慕のゆくえを見つめた作品で、自由奔放&天真爛漫な少女の振る舞いに翻弄されながらも好きで好きで仕方がない夢見がちな男が辿る呆気ない末路を描いて、自分を過信する中年男の孤独と悲哀を映し出したシビアな味わいの人間ドラマとなっています。

主演のウーゴ・トニャッツィが若者グループの乱痴気バカンスに必死についていく中年男をいぶし銀の存在で妙演していますし、男をナチュラルに翻弄する美少女に扮したカトリーヌ・スパークのスレンダー美貌&小悪魔的立ち回りが魅力満載です。
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