May

アイアンクローのMayのネタバレレビュー・内容・結末

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

膨大な質量を持った肉体が躍動していて、そこに詰まっているのは表立っている希望に思えた。期待に応えることの過酷さと、それでも答えた時の充実感が確かにあることの残酷さを強く感じる。強靭なもののそばにある脆さがずっと醸し出されていることがとても印象的だ。

なぜここまでやるんだと、マイクもっと音楽とかやればいいじゃないか、と勝手に思ってしまった。この映画はそういういった葛藤を映すシーンが少なかった。基本的にケビンの主観であるから彼の起伏は感じ取れたものの、他の兄弟たちはシーンが変われば、すぐにプロレスをはじめて、トレーニングや試合に向けて準備をしていて、すぐに激っている。それが呪いでもあるかのように。でもそこには不穏さがずっと備わっていて、結局死という最悪の結末を迎えてしまうのがつらい。
結局は兄弟を失ってしまったケビンには唯一自分の家族があったことが救いで、それが残されたものとなった理由なのかとも思ってしまった。

リングでひたすら練習をする一つの身体と揺れるネットを映しつづけたあのシーンが凄かった。
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