お酢

アイアンクローのお酢のレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.2
苦しくて苦しくて頭痛くなるくらい泣いてしまった。
5人兄弟のうち4人が若くして命を落としたことで「呪われた一家」とゴシップ的に言われているけれど、そこに至るまでには兄弟一人一人の計り知れない苦しみがあったのだということを突きつけられた。当たり前なのだけど。
力の具現化のような一家だけど本当はとても脆く、その脆さを一家の長が頑なに認め続けなかったことが悲劇の一因だったのかもしれない。

ザック・エフロンの、人の良さがそのまま現れているような顔だからこそ、その顔が悲しみ、絶望に歪むたびにこちらの胸も締め付けられる。
正直父親だけでなく、信仰頼りの母の罪も重いと思う。

ずっと苦しかったけど、ケリーの死後、先にあの世に旅立った兄弟たちと再会したシーンでもうベシャベシャに泣いてしまった。
だってどんなにそのシーンがあたたかくても、それはきっとケビンの願いでしかないから。

最後、「男は泣いちゃいけない」と言いながら泣くケビンに息子たちが言った一言、そして現実のケビンのその後に救われた。
だけど「こんな一家がありました」で終わりじゃなく、「同じような悲劇が生まれないために『有害なマッチョイズム』をどう解体していくか」について考え続けるべきなのだろう。
それで言うと「人生をかけて闘え」というキャッチコピーはズレていないか?と正直感じた(日本版だけだと思うけど)。
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