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アイアンクローのtoriten45のレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.1
ジャケ写がすてき。真ん中の強者が高々とベルトを掲げて、まるで栄華を極めた古代ギリシアの彫刻のよう。別の作品を映画館で観賞した時にズラッと並ぶチラシの中でひときわ目を引いたのがこれ。FilmarksのTLにこの勇姿3名が流れる度にソワソワして、プロレスファンでもないけど映画館へ向かうことにしました。アカデミー賞に“チラシ部門”があったらこれ一択だな。

一抹の不安が過ったのは、チラシの下部に並んでいる「A24」と「呪われた一家」の文字…。一回観ただけじゃ理解できないホラーなのかも…。なんて観る前から身構えてしまいましたが、いい意味で普通でした。こんなことがありえるのかと思うほど次から次へと悲劇が起きてしまう実話に基づく重い話ではありましたが、深い感動もあって、プロレスファンでなくても満足度が高かったです。

ジャケ写の左側の男が右手を上げて構えているのがアイアンクロー前のパフォーマンスでしょうか。あの片手で頭をギューっとされるとメッチャ痛いやつです。私も小学生の時に同じクラスにいた暴れん坊にやられたので身を持って知ってるのです。

ジャケ写の3人はフォン・エリック一家の兄弟。伝説のレスラー、フリッツ・フォン・エリックの子供達です。歯止めの効かない父ちゃんの“男たるもの”の“べき論”と、それを実直に従う子供達。物語はそんな家族が直面する悲劇の連鎖を描きながら、間違った理想を追い求めることへの厳しい代償を生々しく掘り下げていく作品でした。なので「呪われた一家」というのはミスリードしていて、この父ちゃんみたいになっちゃダメ…って話でもありました。ムカムカ。

映画としての満足度は高かったですが、やっぱりジャケ写が一番すてき。
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