プロレスには特に興味がないものの、A24ということもあり、良い評判も耳に入ってきたので鑑賞。実話映画って、興味がない題材だと全く響かないこともあると思うんですが、本作はそんな懸念も飛び越えて、見て良かったと思える作品でした。
これが現実に起こったことなのか、と疑うレベルの兄弟の不幸。自分に置き換えたら、こんなの耐えられないだろうと思う。
しかし、ラストの「救い」にも取れるような、「映画的な嘘」に完全にやられました。本当にそうだったら、いいなと。
ケビンの内面が繊細で、ただ家族を、ただ兄弟を愛していて、ずっと一緒にいたいだけだったのに。次々とこの世を去っていく兄弟たちの死の近くにいて、どれだけ心に傷を抱えて生きてきたのだろうかと思った。ずっと自分を責めつづけてきたかもしれない。どうか、彼が元気に長生きできますようにと願わずにはいられない。
そして、父親の存在。「イエッサー」と返事をする息子たち。何か問題が起こったら「兄弟で話し合いをしろ」と大事なことはほったらかし。でも、すかさず「プロレス」に向かわせ、息子たちは父親の期待に応えるために頑張る、と。
親の敷いたレールから外れない素直な子たちへの教育が成功すると、次第に本人たちは狂っていくというか。でも、ケビンが「呪い」から解放されたシーンは、ハッとさせられた。
なんせプロレスに詳しくもないのでとりとめのない感想なのですが、ラストはかなり泣いてしまって心に残った作品でした…。辛いから再鑑賞するのはかなり厳しいですが（笑）また機会があったら見たいです。
