クロ

アイアンクローのクロのネタバレレビュー・内容・結末

アイアンクロー(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

なんだか明るい映画だなあなんて思ってたけど、デビッドが亡くなってからも悲嘆に暮れるとか喧嘩するとかもなくプロレスの試合に誰が出るかが話し合われるし、ケリーの事故後なんてもっと暗いトーンになるかと思いきやそんなこともないし…
異常な話を一応ちゃんと締めたなと思ったらエンドロール前にフォン・エリック家は殿堂入りしたとか流れてきていやいやこんな話の後にそんな情報出す?それは感動的な映画の後の情報じゃない?なんて思って終始どんな気持ちになればいいか分からない映画だったな…


ケビンが家族の呪縛から逃れられるという話にしたいのならもっと前半に父親との争いやケビンの葛藤を入れたりしてもっと不穏な映画にしていいはずなのに、前半メリハリなく明るい、暗くて異常な話が続くのに今一つトーンダウンしていかないから変な映画だな~と思ってしまった。
当時のテレビ演出を模した描写とか、プロレスに脚本が全くないかのように見せる演出とか、プロレスをしっかり見せようという描写がこの家族の暗く重い物語と全く噛み合ってなくないか?フレアーが控え室を訪れるエピソードは実際あったエピソードなのかもしれないけど、入れる必要あるか??
あんなに痛がってたケリーがいつの間にか義足で復帰してたり、編集的な部分もかなり疑問が残る。


うーん、こんなに暗い話ならベネット・ミラーの『フォックスキャッチャー』みたいなトーンで終始映画が撮られるべきだと思う。登場人物の心理描写を生々しく描くことに注力するべきだと思うんだけどな…
プロレスってやらせなの??という彼女の質問に対して真剣にやってるとケビンが答える。それに応えるかのようにプロレスはガチンコなんですよというような描写が挟まれるけど、こんな暗い話にプロレスのその部分を熱く描写されてもな…

まあでも俺がプロデューサーだとしたら、この題材を『マーサ、あるいはマーシー・メイ』の監督に撮らせたらいい感じに不穏に撮ってくれると思っちゃいそうだな。この監督はプロレスかなり好きらしいけど、それが裏目に出てると思う。いっそプロレス興味ない人に撮らせたほうが…というか『ボーはおそれている』でも思ったけど、A24はもうちょっと作品に口出ししたほういいと思います。

往年のプロレスファンからするとかなり有名な話らしいのでプロレスファンは褒めてるように見えるけど俺は評価できないな~まあザック・エフロンはめちゃくちゃ頑張ってたなと思うけどね。
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