みどり

アイアンクローのみどりのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.0

元AWA世界ベビー級王者の父に育てられた兄弟たちはプロレスの世界へと足を踏み出す

兄弟の絆が大事だとしつこいくらいに父は言う
だけど兄弟に何かあったとき、どうしたらいいと思う?
いつも投げかけてはみるものの、「兄弟でなんとかしろ」と返されるばかり。

幼い頃に長男を亡くし、その穴を埋めるように自分が長男の役割をしなければ。兄弟を守らなくてはと背負いすぎたケビン

彼に続いてデビット、そしてケリーもマイクも
誰かがだめだと、また誰かが身代わりになる
みんな自分の容量を超えてもなお、無理をしては追い詰められてしまう
期待に応えたい気持ちもあるし、応えなければならないという重圧が恐怖に変わって。
ケリーだって、マイクだって
プロレスに関わらない未来だってあったかもしれないのに。そしたらこんな思いはしなかったのでは。と考えずにはいられなかった

愛すべき大事な兄弟たちを間近で見ながら
なんで自分じゃないんだろうと嫉妬したり、羨んだりしながらも
身も心もぼろぼろになってしまったみんなとお別れしなければいけなかったケビンの気持ちを思うととにかくつらすぎる

切りたくても切れない血のつながりに関しては私も常日頃思うところがあるのでなおさら。
自分たちは呪われた一家だと、パムや息子と関わらないことを選択した日もあったけれど
譲られた会社を手放して
長年の呪縛から解放されたみたいに、まったく別の道を選べたこと
ケビンが大家族に恵まれたことも、大好きな兄弟たちとの日々を今もずっと大事にしていることが伝わって嬉しかった
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