木蘭

アイアンクローの木蘭のレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
3.2
 リック・フレアーのシーンは、流石に吹いた。「フーッ!」...って、それ反則。
 テレビ中継の様子を初め、名レスラー"ものまねショー"と紙一重ともいえる往年のアメリカン・プロレスの再現は、あの時代を知っているファンには楽しめるんじゃないだろうか。

 出演者の演技も良いし、ハッとさせられるシークエンスも多い・・・

なのに1本の映画になると、なんでこんなにも散漫でまとまりの無い作品になるのか。
 兄弟の物語にしたかったのか、家族の歴史を辿りたかったのか、親子の軋轢を描きたかったのか、ジェンダーギャップをテーマにしたかったのか、あの時代の苛烈で過酷なプロレスの世界を再現したかったのか・・・どれもが中途半端。
 一応、次男のケヴィンを語り部という事にしているが、物語の視点も中心人物もあっちゃこっちゃに飛びまくって芯が無い。

 あれだ、乱戦6人タッグマッチとかバトルロイヤルとか、一見すると見た目は派手だけど、リングに人がワチャワチャ居てプロレスの質自体は雑だし、誰を見たら良いのか分からなくなる・・・そんな感じ。
 バトルロイヤルと同じで、映画の後半で登場人物が減ると、ようやくケヴィンの物語に集中出来る。出来るだけだけど。

 当時の様子を妙に生々しく再現しているせいなのか、南部のマッチョな白人社会を眺めていて、こういう地域で有色人種が暮らすのは辛いだろうなぁ・・・と、ゾッとした。
 こんな世界に飛び込んでいったんだから、当時の日本人レスラーは凄かったんだなぁ。

 それとヒロインのリリー・ジェームズが可愛い。
 あんなボンヤリした男でもテキサス州チャンピオンになると、美人で気立ての良い肉食系の才女がメロメロになってくれるんだから、夢がありますね。プロレス。
木蘭

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