林林檎

アイアンクローの林林檎のレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.0
父親の夢に支配された兄弟の人生。

伝記ものなのでネタバレもなんもないですが……。

呪われた一族、と標榜するものの、家族自体が呪いって話でもあるし、
スポーツ一家によくありそうな、親の夢を託された子供の構図を極限まで引き延ばした地獄絵図でもある。

その親と兄弟の狭間での苦しみに自覚的でありながら生き延びてしまう主人公の、生きる要因が、運命のいたずらであり、まともな妻の存在であり、あるいは父子の遺伝のような何かであったりといくつもあるのが絶妙。

映画の見せ方も、前半の愛情はじっくりと描きつつも、後半の悲劇は素早く、悲しみは反復を避けつつもじっくりと描き分ける見せ方が凄かったです。
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