演出が実直でとてもよかった。気を衒わずに、見せるべきもの、見せないべきものがはっきりしている。見せるタイミングもはっきりしている。
そして、ここまで肉体自体が感情に影響を与えてくる映画も珍しいと思う。
父の過酷な要求に応える姿を、俳優たちの身体づくりに重ねてしまって複雑な気持ち。ステロイドや薬物によって身体が壊れていく姿も、ハリウッドに重ねてしまって痛ましい。ただそれが映画の痛ましさに多いに影響していて、娯楽として鑑賞している自分にも嫌悪感が生まれる。主人公の父親を自分に重ねてしまうせいなのかな。
そんな事も全てひっくるめて優しく見守っているこの映画が罪深くも、作品のメッセージを強めている。とても複雑。
