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ファイナル・セットのsymaxのレビュー・感想・評価

ファイナル・セット(2020年製作の映画)
3.6
"あの子の弱点は、メンタルの弱さ…"

かつて天才テニス・プレイヤーとして一世風靡したトマス…あの時、後一歩のところで敗れた全仏オープン準決勝…それからのトマスは泣かず飛ばず…度重なる膝の故障もあり、現在ランキングは200位代…37歳…

妻や母からは引退を仄めかされるも、自分はまだヤレると全仏オープンに予選から参加する事に…激戦を制し見事本戦に出場する事となったトマスに立ちはだかるのは、かつての自分ソックリな若き天才プレイヤー…

キノフェス23の一本、本日最終日…何だか気になって鑑賞。

フランス版スポ根とのウリでしたが、壮絶な男の"意地"を見せつけられた一本…

過去の栄光と失敗を引きずり、引き際を失った男が不死鳥のように甦り…と熱いストーリーが展開するかと思いきや、案外、起伏が無く淡々と進む展開…がしかし、意地だけで突き進むかつての天才プレイヤーの試合運びには何だか沸々と熱いものが湧き上がってくるのです。

予選1〜3回戦からの本戦へと試合シーンをたっぷり見せてくれまして、映画というより全仏オープンを鑑賞しているかのような錯覚を起こす程試合のシーンは迫力があります。

試合以外が淡々と進むからこそ、試合が生きてきているかのようです。

決してメジャーな作品ではありませんが、キノシネマらしいチョイスの作品で、中々の掘り出し物だと思いますよ。
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