Jun潤

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版のJun潤のレビュー・感想・評価

5.0
2024.01.06

2024年の映画初めは往年の名作で。
昨年『パルプ・フィクション』やクエンティン・タランティーノ監督のドキュメンタリーを鑑賞して、同監督にとって初の長編作品である今作も見てみたいと思っていました。
そんなタイミングでデジタルリマスター版が公開ということで、映画初めとして鑑賞です。

とある喫茶店、紫煙とジョークを交わしながら何らかの計画について話し合う6人の男たち。
店を出た男たちは同じ方へ向かって歩いていく、宝石強盗のために。
場面は移り変わり暴走する車の中。
腹部を撃たれた“オレンジ”と、彼の身を案じる“ホワイト”。
アジトの一つである倉庫に2人が逃げ込むと、次に入ってきたのは“ピンク”。
彼の言い分は、完璧のはずだった計画が失敗したのは、グループの中に警察の“犬”が入り込んでいた体とのこと。
疑うピンクをなだめるホワイトだったが、次に倉庫に来たのは警察官を1人人質に連れた“ブロンド”で、彼こそが押し入った店内で最初に銃を乱射したイカれ野郎だった。
それぞれの過去の動向などを回想しながら、事件の全容と、“犬”の正体が明らかになってゆくー。

なるほどなるほど!
これは良い、好きな作品。
公開から年数が経っても人気な理由が分かりました。
序盤早々、『チェンソーマン』OPにあるワンシーンのオマージュ元を発見。

個人的登場人物の多い洋画あるある、誰が誰だか整理が追いつかない問題も、まず場面内にいる人物のことをしっかり把握して、それから他の人物に思考を分けていける良い塩梅であったことで無事解決。
そうでなくても、終盤できっちり明確に整理してくれるので、2回目を面白く見れる作品でもあると思いました。

なんとなくクライム・サスペンスなことは知っていましたが、まさか肝心の犯罪シーンを全く映すことなくクライムものとして成立させてくるとは。
さらには裏切り者の存在を匂わすことで、犯行が終わった後のハラハラ感を出していて、違う切り口のサスペンスとしても楽しめました。
ストーリーの緩急は、現代と過去をオーバーラップさせた場面の移り変わりでも付けていましたが、個人的には、会話劇やミュージカルのように小気味良いテンポのセリフとBGMで、作品自体にもメリハリがついていたように感じました。

グループ内に潜む“犬”、タイトルは『ドッグス』と複数形で、1人だけではないのか、それとも“犬”などいないのではないかなどの考察ができる余白と、目の前の展開を楽しめる惹き込まれる魅力がある作品でした。
“犬”のことを字幕で“クロ”と表現していたことで、色のコードネームを名乗る男たちの本当の色を明らかにしていくかのような流れに感じ取れたのが印象的でした。
Jun潤

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