ひのらんげ

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版のひのらんげのレビュー・感想・評価

5.0
鋼鉄の意思と絶望で死ぬ。

「ジョー」とその息子「エディ」に招集され、互いに名前も知らない6人の男たちは、仲良くレストランの丸テーブルで朝食をとっている。彼らは「プロ」の強盗犯であり、今、宝飾店を襲撃する計画を立てているところだ。

ニックネームは「ホワイト」「オレンジ」「ブロンド」「ピンク」「ブラウン」「ブルー」。練りに練った宝石強盗計画であったが、当日、現場のあまりに早い警察の包囲(待ち伏せ)に面食らい、思わず警官を撃ってしまうもの、撃たれて死ぬもの、命からがら集合場所の倉庫に戻る者、そしてその体たらくを咎めるジョー。失敗の理由を巡る内輪揉めは「俺たちの中に警察の犬が紛れている」という疑惑を色濃くしていく。

マドンナ好きのブラウン、超ベテランのブルー、撃たれて瀕死のオレンジを介抱するホワイト。宝石を隠して身ひとつで倉庫に現れたピンク、警察官を人質に取ったブロンド。

この中に本当に警察の犬は紛れているのか。それぞれ自身の潔白はどうやって証明できようか。

犯行後の集合場所である倉庫で、物語は終わりに向かって進む。

ーー
デジタル・リマスター版としてスクリーンに帰ってきた「レザボア」。
朝食のシーンのぺちゃくちゃから一転して伝説のオープニングへ。
(しょうもない話をしたあとに店から出てきただけなのに、なにこのかっこよさ)

もう、何度目でしょう。これ観るの。
改めて思うのは、時系列を往来するシーンのつなぎがストレスフリーでなめらか。
誰かがなにかを訝しがり、「そうそう、何で?」と私が思うと、シーンもその回想シーンに入る。気持ちいい。倉庫内のカット割りも気持ちが良い。見たいところを見せてくれる感じ。これは監督のウデですね。きっと。

映画自体はわかりやすくて、心情はものすごく複雑。すごい映画です。

ーー
私が初めてこの映画を見たのは思春期あたり。一生脳裏から離れない。
もう、すさまじく強烈なラスト。当時は大人の機微もわからないまま、独特なドン引き感を経験しました。えええええ、、、、うっそーんって。まだそのショックは覚えています。

映画はいつ観るか。これも重要だってつくづく思います。

ーー
何度観ても、あの命をかけた気合に私は観るたび、今だに毎回たじろぐ。

今回は劇場でこのラストシーンをしかと見ました。
もう何度目かわからないけど、目と胸にきちんと改めて焼き付けた。

ーー
なぜだ。
なぜ、明かしたのか。

死の間際。
鋼鉄の意思と絶望で逝く
ひのらんげ

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