yawara

16ブロックのyawaraのレビュー・感想・評価

16ブロック(2006年製作の映画)
4.4
酒飲みのやさぐれた警官が一人の青年の護送を請け負う。たった16ブロック先までの簡単な仕事のはずだったが、隠蔽体質の"主力組"は青年が目撃した事実とその証言をもみ消そうとする。

ジャックの銃撃から最後まで、まったく気が抜けない緊迫感が素晴らしい。あっという間に物語は駆け抜けてしまい、まるで時間が圧縮されたような感覚。プロットの緩急、カメラワーク、音響、役者の熱演すべてが高いところで噛み合っている。

キャラクターも作品内で深く掘り下げられており、物語とのクロスオーバーがあまりに見事だ。ジャックは多くを語らないが、行動によって人となりが示されている。おしゃべりなエディとの対比もうまく作用している。

人は自分の思い描く正しさと自負ゆえに道を誤ることがあり、どこで内政する機会を得るか、またその機会に気付けるか、さらには行動に移せるか、あらゆる物事がその人の思考を形成する。その機会こそが作品内で言及されている"吉兆"なのかもしれない。

人が変われるかどうかは、その意志ときっかけ次第だ。この映画で描かれていたのは概ねそのようなメッセージに思います。
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