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稀人(まれびと)のinazumaのレビュー・感想・評価

稀人(まれびと)(2004年製作の映画)
3.2
今もなお精力的にホラー作品を量産し続ける男の中の男・清水崇。この人の(良い意味で)ヘンテコなフィルモグラフィの中でも、「恐怖とは何か」という観点で語られ、恐怖の本質に迫った重要な位置づけの作品であるという印象。
得体の知れない"何か"を見て脅える男の「恐怖する表情」に魅せられた主人公が、男が何に恐怖していたのかを突き止めるためカメラ片手に東京を彷徨うという物語。『リング』や『呪怨』を公開当時に観たときに感じた恐怖は今や薄れ、同時に恐怖の対象も時代が進むにつれて移り変わり、Jホラーを作ることが困難な現代でこそ刺さる物語だと思いました。

最初の方は東京の地底や『ヘルレイザー2』の地獄世界みたいな異世界描写とかも出てきて結構興奮したのですが、簡単に行き来できる感がすごいし、後半はずっと地上でウダウダするし、唐突なエロ展開に突入するし……雰囲気やテーマが素晴らしいだけにもったいない。

宮下ともみの熱演が凄かったですが、彼女の登場によって物語がより難解に、というかこの作品はいったい何がしたいんだとすら思ってしまったのが正直な感想です。でも可愛いかったです!どこかでみたと思ったら清水監督もご出演されている『ヘルドライバー』でどえらい目に遭わされる女組長だった!笑

今年も新作公開予定の清水監督。去年の『忌怪島』と『ミンナのウタ』はスルーしてしまったので、新作までに観ようかな。初期作も含め。
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