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オールド・ダッドのblacknessfallのレビュー・感想・評価

オールド・ダッド(2023年製作の映画)
2.6
時代の変化、モラル規範のアップデートについていけず四苦八苦する中年男子3人組の悲哀を描いたコメディ。

アメリカのコメディは現代性を取り込むのがスピーディーで落とし込みや問題提起がうまいから期待値高めでの鑑賞。

盛り上がって思わずアウトな下ネタを連発したり、何の気なしに体型の揶揄する比喩を用いてしまう、そしてアメリカ的な人種差別発言。こういう趣旨の映画のキャラクターだから漏れなくやからす。
これらの描写はけっこうあるある感があり、笑えるように撮っている。自分も中年なんで似たような失言をしてえらいことになった経験があるので「咄嗟に出ちゃうな、、」という羞恥と共感があったりして興味深く観れた。
でも、3人組の"やらかし"と旧態依然として認識を糾弾するトーンが弱いんだよな。各々、家族や恋人を傷つけるんだけど、それがあっさり許され過ぎなんだよ。
こういうコメディだからハッピーエンドなのはいいんだけど、むしろそれが定型なんだけど問題は過程。
恋人や妻とケンカとして関係に亀裂走り、それは主人公達のせいなんだけど、原因であるズレタ認識をあまり省みず、妻の出産👩‍🍼をキッカケにお互い絆されてそれまでのことを水に流して元の鞘に収まってしまう。

主人公達の妻と恋人達が集まって「男は結局バカだからねぇ」なんて言って頑張って良妻賢母になろうみたいな話をする。男どものダメを受け入れてしまう。そういう甘やかし、先を読んで男を喜ばせる、女性が押し付けられた良妻賢母を実践してきた(させられた)土壌が問題のはずなのに旧態依然の弊害のあるモラルに回収されて、よかったね♥とか言われてもなぁ、、
これはダメなやつだった🙄

スタッフ、キャストを調べるとジャド・アパトー系なんだよな。それで納得した。アパトーはアメリカのコメディの名手だけど、テーマの突き詰め甘く終わってみれば古式蒼然した"幸せ"の形で物語りが終ることが多い。
現代性はあるけど散りばめるだけで映画が提示する結末やメッセージに新しさはない。
そんなアパトー繋がりが作ったコメディじゃこんなんでも仕方ねぇか、チョイスしたおれは悪かったよ😒
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