ぶみ

NO選挙,NO LIFEのぶみのレビュー・感想・評価

NO選挙,NO LIFE(2023年製作の映画)
4.0
コスパ、タイパ無視。

前田亜紀監督によるドキュメンタリー。
選挙の面白さを伝えるフリーランスライター・畠山理仁の姿を追う。
民主主義の根幹をなす選挙を一大イベントと捉え、国政選挙から地方選挙、はたまた海外まで行き25年以上にわたって選挙取材をし続ける畠山の取材風景が描かれるのだが、主に前半は昨年7月の参議院選挙東京選挙区を、後半は同年9月の沖縄県知事選挙の取材風景が登場する内容となっている。
彼の凄いところは、候補者全員を取材しない限り記事にはしないというポリシー。
私が住む地方都市では、あまり何かの記念的に立候補するような人は少ないため、特に本作品の前半で描かれる参議院選挙で、所謂「泡沫候補」と呼ばれる候補者が乱立していたのは驚いたところであり、本気で世の中を良くしようという思いで立候補している人がいたかと思えば、中には「超能力で景気をよくしようと思っている」「ベルリンの壁の崩壊は、私が原因」と、これまた本気で言っている候補もいるのだから、何とも面白いもの。
何より、選挙の面白さに取り憑かれ、身銭を切って取材をし、生活すらままならない畠山を陰で支える妻が最高の理解者であり、彼女がいてからこその彼であることは、忘れてはいけないところ。
確かに、前述のように、民主主義の根幹をなすとも言える選挙が一大イベントであることは間違いなく、投票しないのは、社会への参加権を放棄しているのと同じこと。
そんな選挙の、表にはあまり出てこない人間味溢れる部分を抉り出し、家族の支えがあっての取材であることがよくわかる良作。

インボイスも、始まっちゃうし。
ぶみ

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