ねむろう

NO選挙,NO LIFEのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

NO選挙,NO LIFE(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_251


「勝ち」「負け」で表せない、
「グラデーション」を追いかける。


【簡単なあらすじ】
2022年7月の参院選・東京選挙区で34人の候補者全員への取材を試みる畠山に文字通りの“密着取材”を敢行。都内各所で行われる候補者の街宣を分刻みで巡っていくと、そこには超個性的な候補者の姿が。候補者が珍種なら、取材者である畠山もまた珍種。1人で選挙現場を走り回り、睡眠時間は平均2時間…。本業である原稿書きもままならず、経済的に回らないという本末転倒な生き方を続けてきた。畠山ももう50歳。お金にならない選挙取材人生によって、これまで家族にも散々迷惑をかけてきた。「この生き方もそろそろ潮時」と、参院選の最終日、引退を口にした。9月に行われた沖縄県知事選の取材を最後にすると語る畠山を追って、沖縄へ。そこで出会ったのは、他の地域では見られない、有権者の選挙への高い参加意識と、民主主義を諦めない県民の思いだった…。



【ここがいいね!】
長い間国内外の政治を追いかけてきたライター・畠山道義さんが、50歳を前にして追いかけた、2022年の参議院選挙、そしてその後に行われた沖縄県知事選挙の2つを追いかける畠山さんに密着した作品です。
そこには、畠山さんの選挙に対する真摯な取り組みが、色濃く記録されていました。
「それぞれの選挙で立候補している全員に取材をする」というモットーを持ちながら、選挙とは何か、民主主義とは何か、政治とは何かということを私たちに伝えるパワーを感じました。
作品の中で特徴的だったのは、「メインストリーム」となる政党や候補者は、あまり大きく取り扱わずに、「泡沫候補」と呼ばれるような小さいながらもワンイシューなどで国民の声を実現しようという候補者に張り付いている畠山さんの姿が、非常に印象的でした。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
作品の中では、「割に合わない仕事である」という話をされていました。しかし、「やはり選挙取材はやめられないなぁ」という感じで終わっていた作品でもあるのですが、では奥さんと二人の息子を支えるだけのものは、実際にどんなものなのかなと気になりました。
もちろん、「知り合いの別荘の手入れをする」ということを言ってはいましたが、それだけで間に合うのかというところが私自身が下世話な人間なので、気になるところではあります。



【ざっくり感想】
作品の中で、選挙が終わった後に無造作にゴミ袋のようなものに詰められているのぼりを見て、「悲しいなあ、畳んでしまっておいてほしいな」と畠山さんが呟くところが記録されてますが、この作品を象徴しているような感じがしました。
畠山さんは、選挙を愛しているというより、候補者一人一人の志を愛して、そして選挙を愛しているんだということが、まさにこの作品の題名である「NO 選挙、NO LIFE」表しているかなと感じました。

全く関係ないですが、こんなに短いエンドロールを見るのも久々でした。
ねむろう

ねむろう