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Saltburnのpepeのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
4.0
風采のあがらない大学生の青年がふとしたきっかけで金持ちで人気者の同級生と友達になり、やがて彼の屋敷に招かれて、一族に段々と取り入っていく……
といったストーリーラインそのものはそう珍しくはないのに、序盤からきわめてオリヴァーの存在が不気味で不穏。バリー・コーガンの面目躍如というかハマリ役というか。彼が派手になにかを起こしているわけではないのに、言葉遣いや行動のいちいちが、ずっと微妙におかしくて、観ていてぞわぞわとさせる。

この「何者なんだこの男は」というざわめきが緊張感の糸となって物語を最後まで引っ張り、やがて空恐ろしい結末を見せつけてくる。彼に台詞通りの意図はあったのだろうけれど、あの非道な手段をきわめてナチュラルに行える、異常さのポテンシャルの底なしさが恐ろしい。

豪華な屋敷のインテリアや美しい風景、優雅な人々の中で、たった一人の男のフリーダムな異常だけを贅沢に描ききったといえる、凄味ある異質な映画でした。
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