NYoLo

SaltburnのNYoLoのネタバレレビュー・内容・結末

Saltburn(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

暗っ、きもっ、なバリー・コーガンを堪能してしまいました。

分からないのは、きっかけがいつなのか、ということと、きっとすごく頭が良くて捻れた願望を持っているオリバーの、心の中にあるもの。

本当はフェリックスを愛していたのに、愛しすぎて容易には手を出せない(だから結局墓の土で成就…やば)のだと思いたかった。動機は愛に違いないと思いたい私の願いが、後半ずばずばと裏切られた。

「愛」と「誰かの生活を転覆させる自分の周到さへの陶酔」なのかな。人の心は複雑怪奇。



さて、撮影当時、子どもが生まれたばかりだったバリーは、撮影終わりに他の俳優たちと交流する時間がなかった、みたいなニュースを読みました。あんなバリーやこんなバリーが、撮影の合間にオムツ替えてたんだなぁと不思議な気分になったのは余談。


1日後…

見終えた後も長く心に引っかかる余韻は、この監督ならではだと思う。promising young woman のときもそうだったけど、思い切った行動の割にあまり感情を表現しない主人公は、たくさんの「かもしれない」を観客に残します。少なくとも私には。

やっぱり愛なんだと思う。ただその感情を認めることも、激しい感情に抗うこともできないほど初(うぶ)なのだと思う。可愛さ余って憎さ百倍って、本当にあるんだよ。

他にももちろん、お金持ちの集まるオックスフォードに馴染めず、できた友だち(と呼べるなら)は、分かりやすいオタク系の天才しかいなくて、煌びやかな上流階級に対する羨望と嫉妬を消化できなかったのもあると思う。

ソルトバーンの女主人は、身近に同情の対象を置き、施すことで存在価値を見出すタイプの人とみた。身内同士の金銭問題もあって、外から見るより危うい家族。フェリックスに対する有り余る憎さを原動力にして内側から食い尽くすには、あまりにも簡単な家族だったんじゃないかな。でもどこかで、自分だけは違うんじゃないか、愛してもらえるんじゃないかと思っていたはず。

というのが一晩寝かせた感想です。
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