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Saltburnのsazanamiのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
3.8
なかなかに気持ち悪い映画でした(ほめてます)。

まずフェリックスの家族に感じた気持ち悪さは、無意識の暴力性にある気がする。基本的に彼らに悪気はない。しかし「悪気がないことが一番始末が悪い」という典型のように感じました。

オリバーの場合コンプレックスと承認欲求の強さによるものなのかな、と思ってたんですが、フェリックスと一緒に実家に戻ったあたりで、彼のことがいっそう分からなくなった。なぜ境遇を偽って、家族が死んだ話をでっち上げてまでフェリックスにに執着するのか、理由が全く見えない(「階級を偽る」というのは、イギリスではリアリティのある話なんだろうか?)。でもだからこそ面白かった。
登場人物は皆どこかかしらおかしいけど、オリバーの不気味さは誰よりも抜きんでていて、怖いのに目が離せない。

オリバーは大した策略家だと思います。最初の自転車と金欠のフリから、あれだけの状況を作り出したのだから。
もし策略なしにそれらをやり遂げたのなら、凄まじい握力の持主ですね。欲しいものは何があっても必ず手に入れる握力。

オリバーがフェリックスを愛していたのは間違いない。
支配や執着の側面がとても強く出た愛。
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