しーかず

Saltburnのしーかずのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
4.2
練られて完成された狂気の作品。狂気の中で流れるポップな音楽や世界観も最高。クライマックスまでどういう話なのか、どういう展開が待っているのかが見えてこない不気味さがあって久々に完成度の高い素晴らしいスリラー映画を観た。オリヴァーがヤバいやつなのはもちろん、ソルトバーンの住民たちの貴族生活も異常ではあるので気持ちが錯乱する。結末含めて貴族の生活を強烈なブラックユーモアで皮肉ったコメディ要素もあるんだけど、ここまで行くと狂気が勝ってコメディどころではない。主人公オリヴァーの嘘も衝撃だし、家族のことがバレるシーンはトラウマ級。彼のフィリックスへの執着心は友情の域を超えた狂気そのもので、友達が出来たことがないからこそ友人関係がどういうものかも分からずに常軌を逸しているのが生々しく怖すぎる。その中で一家全員に対する嫉妬や執着も入り混じってるので、オリヴァーの心の闇がお祭り状態で最高だった。オリヴァーを演じたバリー・コーガンの怪演も圧巻だし、フィリックスを演じたジェイコブ・エロルディも素晴らしかった。他の演者もみんな良かった。グロさを抑えながらも過激要素満載の傑作スリラー。
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