mitz

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のmitzのレビュー・感想・評価

4.0
浅野いにお作品、初のアニメーション化。
巨大な宇宙船が襲来してから三年後の東京都。上空に浮遊する「母艦」が次第に日常へと溶け込んでゆく世界の中で生活する女子高生5人の物語。
未知との遭遇を通じて混乱する人類を描いたディストピア作品特有の緊迫感と彼女たちの極々平凡な青春ストーリーとの融合。そしてSF作品でありながら、奇想天外な出来事ではなく現代社会と地続きになった「緊張と緩和」の演出。
次に物語の中の「平面と立体」。幾何学的な宇宙船の造形から街並みのリアリティに対して漫画的な要素はそのままに。そして作中に登場するコミック本「イソベやん」。そのメタ構造の縦横軸がアニメーションとして徹底的に再現されています。そして後章へと続くカタルシスの表現も素晴らしい。
最後に、その発言のひとつひとつが機知に富んでいる中川凰蘭こと"おんたん"の存在感。アマチュア声優の起用には常に懐疑的ですが、このマッチングは見事です。言葉の言い回しやアクセントまでイメージのまま。ひとつめの山場となる「知ってるよっ!!」はグッときます。
2014年の連載当初から愛読し、何故か途中で読むのを止めてしまいましたが、この前章は(一部除いて)既読の内容でした。それでこんなにおもしろいなら未読の後章はどないなるねん!?ということです。

人類滅亡まで あと半年。
mitz

mitz