メッチ

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のメッチのレビュー・感想・評価

3.2
いつ世界が終わるか分からない世界で、そもそも"現実"か"虚構"かも疑問の青春譚の始まり。

このあらすじは、突如東京上空に未確認巨大飛行物体『母艦』が現れ、その影響で多くの犠牲者が出る。だが、それから3年の月日が過ぎ、いつまた活動を開始するのか分からない不穏な世界でも、何事もなくほのぼのと学生生活を過ごす少女たち。
しかし、そのほのぼのした日常の裏側では、残酷な事態が起きていた。そして、それは少女たちにも影響してくるのだが…。

濁音が続くタイトルは、『ボボボーボボ・ボーボボ』以来久しく耳にしなかったフレーズ。タイトルだけでもインパクトはありましたが、ストーリーもインパクトがあって、なかなか興味深い作品でした。
本作は漫画原作ですが、私は未読のまま鑑賞しました。捻りがあるというか舞台が日本ということもあって、震災直後とその数年後を描いているように見受けました。直ぐ近くには侵略者たちの『母艦』があり、いつそれが活動するのか?しないのか?という不安が隣り合わせというのも、現実の日本にも同じことが言えそうな感じがして興味を注がれました。
例えば、いつ大地震が起こるか分からないが、予測は事前にして警鐘はしていても相手にされず、大地震が起きてしまい多くの犠牲者が出てしまった事例だったり、何の根拠もないし無関係なのにマスクが買い占められて品不足になってしまうという情報に踊らされて真実がみえていない事例。これらのように、情報に踊らされずに在るべき生活を送るためにはどうしていくべきか?みたいなことが描かれていたように感じました。
あとは、庵野秀明監督版の『シン・ゴジラ』のその後を作ってみたら?みたいな世界観や、『第9地区』や『インデペンデンス・デイ』から影響を受けているようなところも興味を注がれたポイントかと。

物語はというと、侵略者たちが背景にいるというだけで、恐らく主人公2人の友情がこの物語の主軸なのかと思いました。鑑賞前は、『第9地区』みたいなものかと思っていましたが、鑑賞してみたらどちらかというと『タコピーの原罪』みたいなことをやりたいのでしょうか?物語の中盤に"何かの記憶"をみせられることになりますが、それが頭によぎっていました。

ただ原作を読んでいないため、あくまで憶測ですが、本筋は侵略者たちから滅亡を阻止すること。そのためには、このほのぼのとした現実は本当に現実なのか?それとも何者かによって作られた虚構なのか?という問題を解決するための物語なのかと思いました。
しかし、そもそも"何の記憶"とは明確にされないため、前章とはいえどもう少しヒントが欲しかったところ。これでは、これから本編が始まるというところで、「あとは後章をお楽しみに」という印象は少し感じましたね…。
でも、原作を読んでいれば改変されていたことなど気がつけるのかもしれませんし、前章単体ではこの物語の良さは断言できません。後章をみてみないと言い切ってはいけないという感じもありました。
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