さとうきび

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のさとうきびのレビュー・感想・評価

4.1
やたらと実写化される漫画家でお馴染み浅野いにお原作のSF(非)日常アニメーション。原作はおやすみプンプンだけ見てます。


ストーリー 9/10
女子高生たちの愉快な日常生活と、非現実的な巨大UFOとのコントラストが絶妙な虚脱感を誘う前半戦から、怒涛の勢いで話が転がっていく後半戦への移り変わりに凄まじい引力で惹きつけられる。原作は12巻あるのでおそらくは端折られた部分もあるだろうけど、それを感じさせない密度だった。


構成 8/10
後編ありきなのでそこまできっちりとした構成にはなってないが、ラストは印象的なシーンで締めていて、後編をいち早く見たいと思わせる引きだったと思う。情報の出し方とゆるふわな日常シーンとのバランスも良く、ストレスなく鑑賞できた。あとは、ここから話が動き出しますよ、ってポイントが分かりやすく、観客に優しい作りになっています。


演出 9/10
メインとなる女子高生たちの掛け合いがセンス良すぎる。あまりリアリティはないが、アニメだからそれぐらいぶっ飛んでていい。キャラの内面をセリフや表情であまり表現せず、行間を読ませることで想像させているのがオシャレでした。あとは不安を煽る表現。追いつこうとするけど廊下が伸びて追いつけないシーンとか、すっごい好き。


オリジナリティ 3/5
作中劇である『イソベやん』の使い方がいい。物語の転換点で引き合いに出し、先の展開を予想させたり、キャラの心情を暗喩したり。構成や技法なんかは、飛び抜けて独特なものはなく基本に忠実に練り上げた感じでした。


ジャンル性 5/5
キャラクターや世界観など、実写では非常に難しい題材だったと思うので、アニメとして世に出して正解だったと思います。漫画原作が何かと騒がれる昨今、原作者をしっかり噛ませて作成しているのは、これからのあるべき姿なのかもしれません。


映像・美術・音楽 4/5
デフォルメされたキャラクターを上手く現実的な世界へと落とし込めていたと思う。作中に漂う独特な空気感を上手いこと表現できていました。ロボのCGが若干浮いてた感じなのはマイナス。あとは主題歌が映画内容とマッチしていて非常に良き。


キャスト 4/5
メインキャスト2人については慣れるまでに少し時間が掛かったが、慣れてしまえば違和感なく耳に入ってくる。あのちゃんの泣きの演技とかめっちゃ良かったです。『鯨の骨』で見た演技が正直微妙だったので、声優の方が向いてる? のかもしれません。


個人的加点減点 −1
文句があるとすれば、前後編構成なところくらい。収まりきらないのは仕方ないけど、やっぱ尺に収めるってところも含めて映画だと思うので。