萩原くわがた

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章の萩原くわがたのレビュー・感想・評価

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未知の巨大宇宙船が街の空に浮かび、たまにそのせいで死者が出る。バカクソデカすぎるとんでもない問題に目を背けながら日常を送る女子高生達の姿を見守る映画。

2時間尺で更に前後編ということで、本作の前半とかはかなりしっかり時間を使って登場人物のLIFEを描いてくれる。バカすぎる雑談とか、履いてるインスタポンプフューリーとか、各々の学生らしい実りそうもない恋愛とか、全部が生活感があってゆるく楽しい。それがなんか若干タランティーノ映画っぽくもあって面白い。

ゆるく楽しいんだけど楽しい側面だけではなくて、可愛らしいキャラデザとは裏腹に割とリアルな闇が出てくる。家庭のゴタゴタとかなんかそういう、あんまり他人に言うのが憚られるタイプのやつ。そして登場人物を増やしつつ世界観を広げていくと同時に過去に遡り(ここもタランティーノっぽい)、我々に衝撃を与える。

日常的で一般的な女子高生たちの姿を踏み台にして落とされる陰。しかし我々視聴者はそれに対して一種の納得を感じざるを得ず、なぜならそれは空に宇宙から来た巨大円盤があるから。これに怯えてみんな生きてるはずなのに、これを排除したくてたまらないはずなのに、必死にそれから目を背けて生活を送る人々はどこか矛盾していて、いや、やはり歪みが各所に発生していて、我々視聴者はそれを徐々に目の当たりにすることとなる。2時間の尺を用いてじっくりと。

皆の人生、この社会、全てに想像もできないほどの歪みがあって皆はそれを覆いながら生きていて、本作はそんな地獄をかわいく旅できる素晴らしい作品。

キャラデザがかわいいのに加えて動きや表情もすごく良くて、あのちゃんと幾田りらの演技もずっと楽しい。雰囲気が徹底的に好みのその部分も楽しめた。
とにかく後編が楽しみすぎる。ぶち撒かれた謎、気になりすぎる日本の運命と主人公2人の未来と過去とあのサブキャラとあの組織とあいつとあいつと…
もう、後編が楽しみすぎる。