熱のあとにのこうみ大夫のネタバレレビュー・内容・結末

アフターサン、アフターヤンなどと続いてるアフターシリーズで言うとこれはアフターフィーバー。
映画を通して語られるもの、語られないもの。唯一語られないまま終わっていくのは沙苗の愛が「いかに生まれ」「どれほど強かった」という過去の具体。一瞬その不在は刺したホストのことかと思うが、実際はその愛そのものこそが語られない、しかし中心の話題として彷徨く。そういう意味ではこの題は見事だなと思った。
彼の世・此の世のように隔たれた、愛のようなものを大切にする人々と真実の愛だけを大切にする人々の両者。過去のシーンを抜きに前日譚として演じきらなければならないので役者は大変だったと思う。カウンセラーとのシーンはそういう意味で過去を繋げるシーンだったように感じるし、もっと出来たようにも感じる。
人は経験したことしか分からないのか。人は結局変わらない、なのか。サラリと出てくるこれらの言葉が最後までテーマだった気がする。この暴力的な前進の仕方と妄信をこの映画はある種肯定してるが、そこにやや映画の力点作用点が働いているようにも感じる。語るに及ばず、演じるにも及ばず。どうフィーバーを描くか、というのは今後の映画の命題なのかもしれない。