『クラメルカガリ』を観終わって小1時間後に始まった『クラユカバ』。
今度は『クラメルカガリ』よりも、より戦前の帝都東京のイメージが濃厚な舞台だが、架空の街である扇町。
ここで主人公である私立探偵大辻壮太郎が、発生している集団失踪事件を追うという、いわば探偵ミステリー。
と思いきや、結局クライマックスは、こちらもスチームパンクなメカが登場しての戦争活劇にシフトしていく、って、やっぱりそっちなんかい!ってな流れ。
架空とはいえ、いきなり灰田勝彦のナンバーや、こちらも小唄勝太郎が流れてくる、という時点で、え、またかよ、と、こちらはもうちょっとレトロなミステリーで楽しませてもらえるかと思ったのだが、早々に興味が失せた。
詳細に書き込まれた、帝都東京、いや、それらしい町のデザインは素直に凄い、と思ったのだけれど・・・。
また、メインキャストに神田伯山さんを起用したり、『クラメルカガリ』と共に、弁士の坂本頼光さんを起用したりと、「らしい」お膳立てはいいのだが、そういうところも却って鼻につく。
なんせ、これって架空の町で架空の国なんでしょ。
思うに、監督はレトロ趣味ではあるが、たとえばそれを実在の東京を舞台にすることを避けたのは、もし東京だと後半のドンパチを描くとなれば、それなりの考証作業が必要となってくる。
ならば、架空の町にすることで自由が効くと判断されたのではないだろうか。
それは良しとしても、ならば灰田勝彦、小唄勝太郎はないだろう。
そこは2作共に参加している、アカツキチョータなる方に、それらしい楽曲を作ってもらって流したらいいのに。
エンド・クレジットに、チャラン・ポ・ランタンを起用するなんて、それだけで「らしい」映画なのだが。
その「らしい」にまみれた作風が、次第に観ててムカムカして来て・・・。
先のエチケットムービーを観ていた時点では、好きな奴や、と嬉しかったのだけれど。
こちらも好きな人にはたまんないんだろうけれどね。