LilyK

恋するプリテンダーのLilyKのレビュー・感想・評価

恋するプリテンダー(2023年製作の映画)
4.0
試写会、ありがとうございました!
久しぶりの劇場上映ロマコメ映画ということで期待していましたが、期待どおりの内容で最高に楽しめました!

昨年の劇場公開から世界中でヒットし、ロマコメかつR指定という制限があるなかでもあれだけの収益を上げられる作品の誕生は、ロマコメ好きとしては嬉しい限りです。

撮影段階からかなり話題だった本作。主演のシドニーとグレンのW浮気疑惑というゴシップで撮影中から度々話題となっていましたが、当時から「シェイクスピアの『空騒ぎ』を原作とした新作ロマコメ!」と、期待に胸を躍らせていました。
二人のゴシップは事実無根だったとのことですが、それをマーケティングに活用したのはうまい宣伝方法。そもそも噂がたったのも、ロマコメ作品においてもっとも大切な、「主演カップルのケミストリーの高さ」が非常に良かったから。映画本編でも二人のケミストリーは圧倒的で、それだけで良作ロマコメの基準をクリアしていたと感じます。さらに、二人とも体型の整え方がすごい。オーストラリアを舞台としているため、全体的に布地が少なめですが、それが様になる体型をキープし続けるところにプロ根性を感じました。

プロットは定番の「宿敵から恋人に」パターンですが、『空騒ぎ』をベースにしているからかシェイクスピアの他作からの引用なんかも巧みに利用してうまくまとめていました。ドン・ジョンが出てこない『空騒ぎ』は平和ですね。
キャラクターそれぞれの深堀が余りなかったので、そこは物足りない要素でしたが、時間的に難しかったのかな。
笑えるシーンはかなりありますが、やはり一番のお気に入りはトイレのビーと、クッキー泥棒をするビー。演じるシドニーがとにかくキュートでした。船の上から手形までの一連のタイタニックパロディーも最高です。

劇場作品と配信作品の大きな違いとして、「劇場の大スクリーンで観る価値の有無」が大切な要素になると思います。本作ではオーストラリアの自然とオペラハウスを存分にフィーチャーすることでその点をクリアしたと思います。あの景色は大画面で観てこその迫力があるし、ある種の観光ビデオとしても価値があると思いました。
最近のロマコメ作品では、多様性への配慮や不適切な表現ばかりに意識が行ってしまい、結局は中途半端に終わってしまうものも少なくないですが、本作はメインの結婚式を白人と黒人の女性カップルにしたり、不適切発言するキャラクターを他の人がきちんと「不適切だ」と指摘することで、新たな価値観や多様性にも配慮できていたと思います。

決してオスカーにノミネートするようなタイプの作品ではありませんが、キャスト、脚本、演出、ロケーション、音楽、様々な点でしっかりと「劇場で観る価値のある映画」に仕上がっていたと感じました。
LilyK

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