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恋するプリテンダーのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

恋するプリテンダー(2023年製作の映画)
2.5
「ユーフォリア」のシドニー・スウィーニー、「トップガン マーヴェリック」のグレン・パウエルと、まさに今ノッてる俳優二人による古典的コテコテのラブコメ。たとえお決まりの展開とわかっていてもやっぱり観たくなるのがラブコメかもしれませんが、まあこれはよほど美男美女の露出をどうしても大画面で観たいというマニアな女性以外は、配信待ちでよいと思います。

開放的で適度な異国感のオーストラリアを舞台にリッチで豪華な結婚式というセッティングにやたら露出の多い美男美女たちで、目には優しい設計にはなっているし、前半はクスっと笑えるところもちょいちょいあったりコアラがかわいかったり心地よく観られます。が、話が本格的に展開していく中盤以降が、ホントに何も心に響かない...

主演二人を批判する声も結構あるけど、これはやっぱり脚本の問題かなと。めちゃくちゃ薄っぺらいとかいうレベルでもなく、ラブコメらしい場面をただただ繋げているだけで、二人ともただの「ラブコメに出てくるキャラクター」であり、「人間」として描かれていないので、この二人がどんな「人間」なのかわからない。つまり彼らは「ラブコメに出てくるキャラクター」であってもはや「人間」ではないので、何も共感するところはないし、二人が何をしてもロマンチックでもなんでもない。で、結果ラブコメお決まりの終盤に向けての大団円があっても、観客の心は全く動かないんよ。

それと一見今っぽい価値観を入れているようには見えるけど、映画全体を通して非常に男尊女卑で古い価値観を感じるのも割と不快です。キャリアを追求できない弱い女性が幸せになるには王子様の助けが必要という主人公の前時代的な設定、また観客に向けても「どうせ女には映画なんてわからないんだからこういうシーンで喜ばせとけば金も労力もかけず手抜きでいいんだよ。」という男性監督の心の声が聞こえてくるようです。

が、実際低予算で世界的には大ヒットしている本作。ラブコメの興行収入には内容は全く関係なく100%主演俳優と公開日で決まると言われていますが、本作もそれを実証する形になっています。う~ん、ある意味いろいろ考えさせられる映画かも。

最後にツッコミ:レスキュー隊をおもちゃにすんな(笑)。
あ、もう一つ:エンディングの映像集の野球場の文字。え、まさかのシェークスピアの喜劇が元ネタ?シェークスピアに殺されるぞ。
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