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ビニールハウスのPのレビュー・感想・評価

ビニールハウス(2022年製作の映画)
3.8
── 目を逸らすな。

盲目の老夫、見たいものしか見ない老婦。ただ見るだけの母親。そもそもしっかり見ようともしない老父の友人。
そして、見えるのに見ないムンジョン。
見えるものを極端に見せない編集と、現代の縮図ともいえる人物たち。
目を背け続けてきた彼女が、最後にその目ではっきり見たものとは。

本作を観ていて感じたのは、とにかく《見る》ということ。
客観的に見れば不可解な点はいくつもあるが、それは重要ではない。
そこに在るかどうかよりも、見るか見ないか。あるいは見ようとするかしないか。
特に、焦点が定まっていないムンジョンの目の動きに、終始視線を奪われた。
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