2022年韓国。若手監督イ・ソルヒの監督脚本作品にベテラン女優キム・ソヒョンが主演。彼女演じるウンギョンは息子が少年院から出所し、アパートを借りて暮らす日を夢みてビニールハウスに暮らす女性。精神的負担のためか自らを殴りつけるという自傷行為をしてしまうが、目が見えないが思いやりのある夫と認知症の妻の老夫婦に対して思いやりを込めた介護をして収入を得ている。ところが認知症の妻が主人公を疑って襲いかかったことで暗転が始まる。セラピーグループで会った若い女性、夫婦の息子との肉体関係、認知症で入院中の母親、などが絡んで事態は悪化の一途を辿り、最後には全てが崩壊してしまう。薄幸で善意の女性が過失からどん底に突き落とされていくストーリー。ポンジュノの「母なる証明」ほどの圧倒的衝撃力は正直欠けていて、新人監督らしい演出や編集にやや拙さが感じられ、人物描写も甘いが、主演の好演もあって訴えたいパワーを感じさせる。今後に期待。
