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ビニールハウスの708のネタバレレビュー・内容・結末

ビニールハウス(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ビニールハウスを燃やすラストで、村上春樹原作「納屋を焼く」によるイ・チャンドンの「バーニング」を思い出しました。

このラストというか、終わり方の絶妙なタイミングに鳥肌が立ちました。そこで終わるか、みたいな。後味の悪さをすべて丸投げされたようなぶった切り。

出所してくる息子との二人暮らしを夢見て、ビニールハウス暮らしから脱却するために家を探し、介護の仕事を頑張るムンジュン。弾みで死なせてしまった介護先の妻ファオクの死体を隠蔽して、最後にビニールハウスごとすべてを燃やして終わらせられると思ったら、出所した息子と友達が隠れたままで燃やしてしまうという悲劇。

ファオクの夫のテガンが息子に遺した遺書的動画に、ムンジュンの母親が写り込んでしまったことで、ムンジュンがファオクを殺害して母親を住まわせていたことが明るみに出る…みたいな展開になるとばかり思っていたら、そんなのがすっ飛ぶくらいの展開でした。主要人物の中で、ムンジュンとスンナム以外は全員死亡。そして、彼女たちは恐らく刑務所行きという一切の救いのなさ。

不幸が連鎖していく感じや決して悪人ではなく、思わず同情したくなるムンジュンの気の毒さは、どことなく松本清張っぽいなぁと思いました。
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