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アンモナイトのささやきを聞いたのBONのレビュー・感想・評価

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寺山修司主宰・劇団天井桟敷出身で美術なども手がけていた山田勇男監督。

同年のフランドル映画祭、カンヌ国際映画祭批評家週間招待作品、翌年の 香港映画祭招待作品。イギリスの鬼才デレク・ジャーマンの『カラヴァッジオ』(1986)『ザ・ガーデン』(1990)などのサウンドトラックを提供したサイモン・フィッシャー・ターナー。

詩人、童話作家の宮沢賢治と、妹トシとの深い愛情関係を幻想の世界で描く物語。

鉱物学者の助手を務める兄と病気に伏す妹。螺旋模様の手紙が兄の元に届いてから、時間や現実と虚構を漂う夢を見る。

母に優しく包まれる柔らかなベール、夕焼けに浮かぶメリーゴーランド、アメジストの輝き、海辺の朽ちた巨大アンモナイトが燃えていく美しさ。

夢に導かれゆく妹との記憶を紡ぎ、夢はドロドロに溶けていく。言葉は不要…。芸術を味わい尽くす作品だった。
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