未就学の子供がいなくなった時（行方不明でも誘拐でも事故死でもなんでも）父親と母親の受け止め方はかなり違っているのだろうと想像がつく。まあ父親の方が子供に対して抱く愛情と母親のそれでは実際に10か月近く胎内に宿して過ごしてきたという時間の問題もあるだろうし、出生後もその関わり方に違いがあるだろうから、致し方ないのでしょう。それをどう乗り越えるのか。昔のように1割以上の赤ん坊が成人する前に死んでいく時代とは違うので、喪失感はとても大きいのでしょうし、この夫婦のように一人っ子だったら尚更なんでしょうね。ただ、妻の涼子の性格がちょっと極端で感情移入できず、さらにかつて長期間拉致監禁されていたという妊婦の行動も理解しがたかった。でもまあセックスレスなのに夫婦関係を続けている夫婦ってたくさんいそうだし、それでも夫婦を続けていくのって、ただ離婚が面倒だからだけではなさそうなのに、この映画ではその一つの解を提示してもくれなかったのがちょっと残念。なぜ涼子と雅之は別れずに過ごしているんだろう。そんな二人の不安定感にぴったりの映像でした。
