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雪山の絆のyayouのネタバレレビュー・内容・結末

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

過酷、壮絶。新年早々見る映画ではなかったと、途中見たことを後悔した。
想像を絶する話だった。

私には信仰心なんて特にはないが、自分の今までもっていた考えや正しさが少し変わってしまう映画体験だった。
生き延びる方法は、究極の選択。そんなに生きたいのか、それを選ぶくらいなら死んだ方がいいとか、自分は絶対しない、したくないとか、そんなことを言えるのは、言っていいのは、その場にいた人だけだ。

冒頭に、「悲劇とも言われるが奇跡とも言われる」とあった。奇跡…劇的な発見とか生還かと思うけど、全然そんなことなくて、次々と死んでいく。数名残った人だけが奇跡ということなのか、と少し腹立たしかった。でもそうじゃなくて、最終的には助からなかったけど、一緒に壊れた機体の中で生きようと何十日間も頑張った人たち全員が奇跡なんだと、見終わって思う。

 人の生きる場所ではない 人の居場所ではない
そんな場所に置かれてしまって、生き地獄で。もし自分がそうだったらと想像しようとするけど、想像できないし、しようとするのを無意識にやめてしまうのは、怖いから。
ヌマの最期の手紙「友のために命を捧げるほど偉大な愛はない」壮大すぎて涙もでない。

山を越えて見えた景色は、雄大で美しくて。天国=絶望=希望
生きていた16名がいたからこそ、今に伝わることがある。
墜落してから71日め、救助がくるとわかったときに歯磨きしたり髪を撫でつけたり身支度するのが、すごくよかった。

帰還したときのまわりの熱狂ぶり。本人だけが英雄と感じない。
50年前に起きた墜落事故。この壮絶な経験をした方たちはこの50年どう生きてきたのか。
それを考えるのもつらい。


やっぱり奇跡は偶然ではない。成し遂げようとした強い意志だ。
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